赤ちゃんの健康チェック
あかちゃんとふたりきりで家で過ごすのは、嬉しい気持ちと同時に心配になると思います。あかちゃんは体調が悪くても、大人のように「どこがこう痛い」と言葉で伝えることができません。そこであかちゃんの生理と健康チェックの仕方を知ることが重要です。知れば少しだけ、余裕をもって対応できるようになるかもしれません。
健康チェック
体温
平熱は36.5℃~37.5℃程度です。
あかちゃんは体温を調整する脳の働きがまだ不十分で、皮下脂肪が少なく熱を失いやすいです。湿度によって体温が変動しやすいので定期的に見てみましょう。平熱の範囲以内なら大丈夫です。また泣いた後、おっぱいを飲んだ後は一時的に体温が高くなります。37.5℃以上の熱があっても、掛物や上着で調節して様子を見てください。平熱に下がるようなら問題ありません。
熱があるとき
熱が下がらずぐったりしているとき、おっぱいの飲みが悪いとき、機嫌が悪いなどの他の症状が伴っているようであれば小児科を受診しましょう。
生理的体重減少
産まれてすぐ、出生時の体重の5~10%が一気に減ります。これはあかちゃんが飲む水分よりも、皮膚からの水分蒸発や排せつにより失う量のほうが多いからです。あかちゃんはそのために水分とエネルギーを体に蓄えて産まれてきますので、心配しなくても大丈夫です。生後2~3日目くらいが生理的体重減少のピークです。7~10日目くらいで出生時の体重に戻ります。
生理的黄疸
生後4日目ごろに一番強く出ます。胎児期にあった胎児性赤血球が出生後壊れて、成人型の赤血球になる過程で壊れた血色素からビルリビンという物質がつくられ、肌が黄色くなっていきます。
胎便
胎便とは産まれて初めて出る便のことです。粘っこく、においがありません。胎児期に飲み込んだ胎脂や垢などが便となったものです。授乳がはじまると次第に緑色から黄色へと変わっていきます。
うんち
あかちゃんは1日に3~4回程度うんちをします。個人差もあるため1日に10回以上少しずつうんちをする赤ちゃんもいれば、1日1回で済む赤ちゃんもいます。しかも日によって違うようです。3日~1週間近くうんちが出ないこともありますが、排便時に苦しそうに泣いたり力んだりせず、おっぱいの飲みもよく、スムーズに排便できているようであれば問題ありません。
もし、排便のときに苦しそうに泣いたり、おなかがポンポンに張っているようなら、おなかを「の」の字を書くようにマッサージしてください。なかなかでなくて苦しそうなときは、綿棒にベビーオイルなどの潤滑油をつけて肛門を刺激してみましょう。あかちゃんの足先が冷えているようであれば温めてあげてください。
また、血液の混ざったような赤いうんちや、真黒なうんち、白いうんちは異常が考えられます。そのうんちがついたおむつを持って、小児科を受診してください。母子手帳にも写真が載っていますので、参考にしてください。
お肌のケア
すべすべに見えてもあかちゃんのお肌はとてもデリケートです。大人に比べると角質層の水分量が少なく、肌の水分を保つ保湿因子(セラミドなど)が少ないのです。そのため温度や湿度、皮膚に触れるものの影響で、ブツブツになったり、カサカサになったりします。毎日の沐浴やお着換えのときに、よく観察してあげてください。また、赤ちゃんに触れるものは清潔に保ちましょう。
あせも
室温が高すぎたり、着せすぎているとあせもになります。特に脇、首、足の付け根、背中など、皮膚と皮膚が接している部分にできやすいので注意が必要です。あせもができたらちょうどよく着せたり、あせもができた部分を良く洗い、乾燥させましょう。軟膏やシッカロールを付けるのは逆効果です。
おむつかぶれ
おむつが当たっている部分が赤くなる、ブツブツができる、皮膚がむける、といった状態になるとおむつかぶれです。適切にケアをしないと、真っ赤になってただれる、膿を持つなど悪化してしまいます。特に生後3~4ヶ月くらいまで多く、一度おむつかぶれになるとなかなか治りません。うんちをしておしりがとても汚れたり、赤みが強いときはおしりをよく洗ってください。おむつはおしりがよく乾燥してからあてるようにしてください。かぶれたおしりにゆるいうんちがつくとかぶれが治りにくくなります。
蒸れにくいおむつを使い、こまめにおむつを交換し、うんちのあとのおしりにベビーオイルやオリーブオイルを薄く塗るなどで予防していきましょう。
吐く
哺乳後に、口元からダラダラと流れてくるように吐くときは「いつ乳」といって心配はありません。からだごと横に寝かせるようにしましょう。おっぱいを飲むたびに噴水のように吐いたり、ぐずるときや哺乳欲が弱いとき、元気がないときはすぐに受診してください。
睡眠
あかちゃんの睡眠は脳が発達する大切な時間でもあります。成長にあわせて睡眠と覚醒のリズムを整えましょう。うつ伏せ寝は突然死の危険があるので避けてください。
睡眠に関わるホルモン「メラトニン」は目覚めてから14時間くらいで分泌しはじめます。生後3~4ヶ月くらいになったら、メラトニンが十分に分泌されるように、毎朝決まった時間にあかちゃんを起こしてあげるとよいでしょう。
生後1ヶ月 | 睡眠サイクル | 3~4時間 |
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睡眠時間 | 16~18時間 | |
脳の状態 | レム睡眠の時間が睡眠時間の半分くらい。 体は寝ていても脳は活動している状態なので、少しの物音や刺激で目が覚める。 |
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生後3~4ヵ月 | 睡眠サイクル | 24時間のリズムの中で睡眠 |
睡眠サイクル | ある程度まとまった時間 少しずつ睡眠と覚醒の時間がずれるため、昼夜逆転が起こりやすくなる。 |
SIDS(Sudden Infant Death Syndrome)とは?
SIDS(乳幼児突然死症候群)とは、それまで元気だった赤ちゃんが事故や窒息ではなく眼っている間に突然死亡してしまう病気です。
日本では年間300~400人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっています。生後1~4ヶ月頃が最も多く、そのほとんどが1歳未満の乳児期の赤ちゃんに起こっています。
SIDSを防ぐために
- あおむけ寝で育てましょう。
- 赤ちゃん、母親の周囲でタバコを吸わない。
- できるだけ母乳で育てましょう。
人工乳がSIDSを起こすのではありませんが、母乳を飲んでいる赤ちゃんの方がSIDSの発生が少ないと言われています。 - なるべく赤ちゃんを1人にしないようにしましょう。
よく眠っているからといって、長時間赤ちゃんを1人にしたり、赤ちゃん1人をおいて外出するのはやめましょう。
赤ちゃんの寝かせ方に関する注意
- 寝具は固いマットを使用し、枕は使わないようにしましょう。
- かけ布団やタオル、ひもなどが顔にかからないようにしましょう。
- ベッドの周りにはガーゼやビニールなどを置かないようにしましょう。
- 赤ちゃんを寝かせる時はいつも場所や寝具への配慮をしてください。
たとえば、日中の短い眠りでもソファなどに寝かせるのはやめましょう。