脳神経外科
ドクターインタビュー
脳神経外科主任部長 井口 雅博
急性期脳卒中治療に積極的に対応
当院の脳神経外科では、脳卒中や脳腫瘍、頚動脈狭窄症などの動脈瘤、頭部のけがなどを診療し、必要に応じて主に開頭での外科手術を行っています。手術以外にも頭痛やめまい、認知症などあらゆる神経系の病気を診察しています。
当院は三次救急を担っておりドクターカー、ドクターヘリの運用がありますので重症の患者さんの受け入れも多くあります。当科にかかっている8〜9割の患者さんが外傷や脳卒中などの緊急性の高い病症です。それ以外では軽い脳梗塞や良性腫瘍の治療を行う患者さん、その他に顔面痙攣、三叉神経痛、特発性正常圧水頭症などの機能的疾患の診療にもあたっています。
ご高齢の患者さんがメインの層
当科にかかる患者さんは救急で搬送されて来られる方が半数です。地域は茨城の全域というよりは水戸の西側や笠間市、県北地域の例えば常陸太田市、常陸大宮市などからの患者さんが多いです。要請によってより広い範囲の患者さんや、患者さんからの直接の連絡も受け入れています。
また、直接当科の外来に来られる患者さんでも入院になるケースもありますし、地域の開業医の先生からのご紹介も多いです。紹介の患者さんが4割程度、救急が5割、外来は1割程度の割合です。
また、直接当科の外来に来られる患者さんでも入院になるケースもありますし、地域の開業医の先生からのご紹介も多いです。紹介の患者さんが4割程度、救急が5割、外来は1割程度の割合です。
症状で一番多く見られるのは、脳梗塞が原因の麻痺などです。半身の麻痺、片麻痺や言語障害が出てきて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。
基本的にはご高齢の患者さんが多く、大体が70歳以上です。脳卒中は加齢に伴って発症率が上がってきますので、80歳代がメインの患者さんの層となっています。外傷などで搬送されて来られる患者さんの中には若い方もたまにいらっしゃいますが、数は少ないです。
基本的にはご高齢の患者さんが多く、大体が70歳以上です。脳卒中は加齢に伴って発症率が上がってきますので、80歳代がメインの患者さんの層となっています。外傷などで搬送されて来られる患者さんの中には若い方もたまにいらっしゃいますが、数は少ないです。
他病院とも協働した診療
当院の設備や機器に関しては、血管造影室はもちろん循環器分野も幅広く対応していますので、ハード面が非常に充実しています。そのため治療の内容によっては、たとえばステント術や動脈瘤などの治療では他院の先生に来ていただいて当院で診療にあたっていただいたくこともありますし、道具の問題などでご紹介の方が良いという事であれば、他院にご紹介もしています。
患者さんのご意向や治療内容を第一に考え、大学や他病院とも協働しながら診療にあたっています。
患者さんのご意向や治療内容を第一に考え、大学や他病院とも協働しながら診療にあたっています。
2023年9月より脳血管内治療を行うことができる体制をつくりました。急性期脳梗塞で血栓回収療法が必要な方の受け入れも24時間365日可能です。手術と血管内治療が両方可能な病変(脳動脈瘤や内頚動脈狭窄症など)に対しては、患者さん毎にそれぞれどちらが適切か、科内でもよく検討した上でご提案をしています。
安全かつ精度の高い手術を施行
脳神経血管内治療は、カテーテルと呼ばれる細い管を主に足の付け根の血管に挿入し、脳に発生した血管の病気を治療するものです。開頭手術のように頭蓋骨に穴を開けたりする必要がなく、退院後は早期の回復が見込める治療方法です。このため最近は、血管内治療を希望される患者さんが増えています。現在当科では血管内治療も可能となっています。
同じ脳血管の病気でも、直接患部に到達して治療を行う開頭術の方が治療効果がよい場合もたくさんあります。たとえば、脳腫瘍を摘出する際は主に開頭が必要です。開頭に関しても当科では安全かつ精度の高い手術を施行していますので、手術に関していえば他院に比べ優位性はあると自負しています。
当科には5名の医師が在籍しています。私が主任部長をやらせていただいており、その他に主に脳ドックや外来などを担当している顧問の医師が1名、16年目と12年目の医師のチームで診療を行っています。
認知症だからと受診をしないのは危険
外科手術になるような病気として正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫があげられます。これらの病気は、物忘れや記憶障害、人格の変化など認知症のような精神活動の低下が見られることから、認知症だと判断してしまうことがあります。
認知症だから治らない、高齢なのだから仕方ない病気だとご自身やご家族で判断してしまうのではなく、似たような症状が出てきた場合は早めに受診してほしいと思います。患者さんにとっては何でもないめまいでも、精密検査をすると大きな病気が見つかることもあります。
脳血管障害分野が専門
私が医師を目指したきっかけは、子供の頃に親から弁護士や医師など、国家資格が必要なような職業を目指しなさいと教育を受けた影響が大きいです。他にも、家族が病院にお世話になった経験は特にないのですが、映画やドラマで患者さんの病気を治すお医者さんがかっこよく見え、その道を目指したいと中高生の頃に思うようになりました。
どの診療科も魅力があると思いますが、外科系は手術が面白そうだなと感じていたので、その中でも脳神経外科を選択しました。現在は脳血管障害を専門としており、動脈瘤の手術や頸動脈狭窄症に対する内膜剥離術などを得意としています。
地域のかかりつけ医の先生方へ
地域の先生方にはいつもお世話になっています。先述したような認知症と言っても治るものもありますので、外傷以外の病気の検査だけでもお気軽にご紹介をいただければ丁寧に対応をいたします。
脳の病気は時間との戦いですので、一過性の脳虚血発作や脳梗塞を起こしかけている患者さんがいらっしゃったら、早目にご紹介していただきたいです。症状でも麻痺が出たとか、視野が欠けたりとか、言葉がうまく出せない、単語が出てこない。そういった脳の障害が疑われたらぜひ早めにご紹介いただければと思います。
脳の病気は時間との戦いですので、一過性の脳虚血発作や脳梗塞を起こしかけている患者さんがいらっしゃったら、早目にご紹介していただきたいです。症状でも麻痺が出たとか、視野が欠けたりとか、言葉がうまく出せない、単語が出てこない。そういった脳の障害が疑われたらぜひ早めにご紹介いただければと思います。
セカンドオピニオンについては当院では専門の外来は行っておりません。当院は三次救急を担っており救急で来られる患者さんがほとんどですので、当科ではセカンドオピニオンを受けられる患者さんは多くはありません。
ですが良性の腫瘍や未破裂の脳動脈瘤など、慢性の疾患や緊急性の低い病気に対してはセカンドオピニオンをお受けしています。現在の診断内容や治療法について、しっかりとご相談して今後の見通しや治療方針をアドバイスいたします。
ですが良性の腫瘍や未破裂の脳動脈瘤など、慢性の疾患や緊急性の低い病気に対してはセカンドオピニオンをお受けしています。現在の診断内容や治療法について、しっかりとご相談して今後の見通しや治療方針をアドバイスいたします。
多職種と連携し、急性期を乗り切る治療
「脳の病気」と言われると恐怖を感じるかもしれません。病気のこと、手術が必要な理由、合併症の起こりえるリスクなど、できるだけ分かりやすく説明するように心がけております。心配な症状がある場合は外来受診をおすすめします。
急性疾患のケースでは、患者さん本人というよりもご家族の方が不安かと思います。入院となった際も、ご本人の治療は当科のスタッフだけでなく、看護師や放射線技師、リハビリなど様々な職種とも協力しながら急性期を乗り切る治療をしていきます。
急性疾患のケースでは、患者さん本人というよりもご家族の方が不安かと思います。入院となった際も、ご本人の治療は当科のスタッフだけでなく、看護師や放射線技師、リハビリなど様々な職種とも協力しながら急性期を乗り切る治療をしていきます。
急性期を乗り越えた後も、転院するにしても、自宅に退院するにしても、予後についてご相談しながらしっかりケアをしていきます。安心ということはできないかもしれませんが、任せていただければと思います。
井口 雅博 (いぐち まさひろ)
職名 | 主任部長 |
---|---|
出身大学(卒業年) | 筑波大学(平成3年) |
認定資格等
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医・指導医
博士(医学)