小児科知識ブログ
皆さんは、母子手帳に挟んである「便色カード」というのはご存知でしょうか?
これはうんちの色から「胆道閉鎖症」という病気を早く見つけるために使用するものです。「胆道閉鎖症」の時は白いうんちになるのが特徴です。
「胆道閉鎖症」とは文字通り「胆道」という部分が「閉鎖」する病気です。胆道は肝臓で作る胆汁という消化液を腸につなぐ通り道で、その部分が閉塞、破壊、または消失するために、胆汁が出せない病気です。(下の図では総胆管などの部分のことを言います。)
「胆道閉鎖症」は生まれてくる子どものうち約1万人に1人がかかる稀な病気です。では、なぜ「胆道閉鎖症」を早期発見することが重要視されているのでしょうか?
それは、「早く見つけて手術しないと肝臓へのダメージが蓄積され、肝移植になる可能性が高まるから」です。
肝臓がダメージを受けるのは、「胆汁うっ滞」が起きているからです。「胆汁うっ滞」とは、胆汁が循環することができずに、たまっている状態を表し、胆汁によって肝臓の細胞はダメージを受け、細胞の働きが低下します。
独立行政法人国立成育医療研究センター
この状態が続くと、「肝硬変」という状態になり、「胆道」が「閉鎖」している状態を解除しても、肝臓の機能が戻らなくなります。結果的に、肝臓の機能を取り戻すためには肝移植が必要になります。
肝移植に至るのを防ぐために重要なこととして、「生後60日以内に手術をして胆道の閉鎖を解除すること」が言われています。 (桝屋隆太, ほか, 胆道閉鎖症葛西手術術後患者における自己肝生存率に対する予後因子の検討, 日本小児外科学会雑誌, vol. 54, 1324-1331, 2018. )
早期発見のための取り組みとして、私も参加しているMCL というグループメンバーで、現在、簡単にスケール付きで記録できるアプリを開発中です。
今後、進捗があり次第お伝えしていきます。