【季節性アレルギー性鼻炎】スギ花粉症に注射薬(ゾレア®)って効くの?
スギ花粉症の頻度は増加しており、スギ花粉症を発症している子ども達も増えてきています。
松原 篤ほか:鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年, 2008年との比較): 速報–耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として-, 日耳鼻 2020; 123: 485-490.
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会より2020年版の鼻アレルギー診療ガイドラインが発行され、重症度に応じた治療について発表されました。
アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版
今回はこの中の「生物学的製剤(抗体療法)」のお話しです。
2019年に「ゾレア®」という薬が重症なスギ花粉症に使用することができるようになりました。
「ゾレア®」とは抗IgE抗体と呼ばれ、スギ花粉症はスギ花粉(抗原)が入った時にIgE抗体が結合し、マスト細胞とも結合することで、アレルギー反応を起こしますが、IgEがマスト細胞と結合するのを抑えることでアレルギー反応を起こすことを抑えます。
「そもそもアレルギー反応を起こさせなくする」という薬のため、スギ花粉症の方に対しては良い選択肢となります。しかし、高価なお薬なため、どんな患者さんに使えるかが細かく決まっています。次の基準に当てはまるときはスギ花粉のシーズンに投与できる可能性があります。
まず以下の4つを確認します。
次に、スギ花粉飛散時期の最もひどかった時の症状を確認します。具体的には以下の表で1日のくしゃみの回数、1日の鼻をかんだ回数、鼻づまりの程度を確認します。
全ての項目で1点以上、かつ、3点以上の項目が1つでもあれば重症なスギ花粉症と当てはまります。加えて、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬が使用されていたかも確認しています。
実際に「ゾレア®」を投与するのはスギ花粉飛散時期になります。投与を検討しているシーズンに、まず従来の治療法(抗ヒスタミン薬+ステロイド点鼻薬)を使用して1週間以上治療し、上記の重症なスギ花粉症に当てはまる場合にゾレア®の投与を開始します。
スギ花粉のシーズンは受験シーズンと重なるため、スギ花粉症の治療は学業の面でもとても重要となってきます。スギ花粉症でお困りの方はぜひ検討してみてください。
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