【鶏卵アレルギー】卵アレルギーってワクチン打っちゃいけないの?
卵アレルギーのある患者さんに「インフルエンザワクチン打てないんですか?」とよく外来で相談されます。
今日は「卵アレルギーとワクチンの関係について」お話しします。
今回取り上げるワクチンは次の3つです。
1. 卵アレルギーとインフルエンザワクチンについて
2. 卵アレルギーと麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)、おたふくかぜワクチンについて
3. 卵アレルギーとコロナウイルスワクチンについて
1. 卵アレルギーとインフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンの添付文書を見ると、「鶏卵で培養」して作製されていると書かれています。卵に小さな穴をあけて、インフルエンザウイルスを入れて増やし、感染力を無くして作っています。
この際、卵の成分を完全に除去することはできず、鶏卵タンパク質は数ng/mL以下(1mL中に1gの10億分の1以下)と極めて微量ではありますが、残ってしまいます。その結果、添付文書には「鶏卵に対してアレルギーを呈する恐れのある者」は接種要注意者となります。
しかし、ほとんどの場合、卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンの接種は問題ありません。実際に卵アレルギーがある方と卵アレルギーのない方のインフルエンザワクチン接種後の副反応を比較した研究では副反応の頻度に差はなかったと報告されています1)。
1) Remi Gagnon, et al., JACI, 126, 317-323, 2010.
2. 卵アレルギーと麻しん風しんワクチン(MRワクチン)、おたふくかぜワクチンについて
MRワクチン、おたふくかぜワクチンについてもよく卵アレルギーの方が気にして「卵が使われているのでは?」と質問して頂きます。しかし、ワクチン製造過程で使用しているのはニワトリの胚細胞であるため、アレルギー反応を起こす鶏卵タンパク質は含まれていません。接種の問題はないと話していたインフルエンザワクチンよりも安心して接種ができます。
3. 卵アレルギーとコロナウイルスワクチンについて
食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎や花粉症、じんま疹、アレルギー体質などがあるといった理由だけで、コロナウイルスワクチンの接種を受けられないわけではないと厚生労働省が明確に答えています。
今までにアナフィラキシーなどの重いアレルギー反応を起こしたことがある方には、摂取直後に調子が悪くなった時に速やかに対応できるように、接種後、通常より長く(30分間)、接種会場で待機していただくこととなっています。
現在、小児(5-11歳)への接種が進められていますが、「努力義務」(接種を受けるように努めなければならない)というわけではありませんので、各家庭で考えながら接種の予約をして頂いていると思います。ここでは、「アレルギーがあることはコロナウイルスワクチンを打たないという理由にはならない」ということだけお答えしておきます。
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