【鶏卵アレルギー】オボムコイドのクラス2, クラス3ってどれくらい食べられるの?
「オボムコイド」とは卵白の中にあるアレルギーの原因となる主要なタンパク質であり、熱に強いという特徴があります。(アレルギー検査のオボムコイドってなに?)
採血でオボムコイドの値を測定することにより、「卵料理を摂取したときのアレルギー症状が出現する可能性」を予測することができます。
ここでいう「オボムコイド」は1項目ずつ検査するものを選んで測定する「イムノキャップ」や「アラスタット」の値です。「View39」などの多数の項目を一括して測定するような検査の結果は利用できませんのでご注意ください。(39項目のアレルギー検査は慎重にすべき4つの理由)
今回は「イムノキャップ」と「アラスタット」による採血を実施して、「オボムコイド」の「クラス2」、「クラス3」だった方に向けて解説します。クラス分類は0-6までの7段階で、0が一番下、6が一番上です。2以上を陽性と捉えるので、「クラス2」の方は陽性の患者さんの中では一番下、「クラス3」の方は下から2番目ということになります。
以下のプロバビリティカーブを利用します。プロバビリティカーブについての説明は「アレルギー検査のオボムコイドってなに?」を参照してください。
まず、「イムノキャップ」についてです。
イムノキャップ 加熱卵粉末摂取
GroupA 1歳全卵1/2個相当,GroupB 2-6歳全卵1個相当
縦軸:アレルギー症状出現可能性,横軸:オボムコイドの値
Furuya K, Nagao M, Sato Y, et al; investigators IPg. Predictive values of egg-specific IgE by two commonly used assay systems for the diagnosis of egg allergy in young children: a prospective multicenter study. Allergy. 2016; 71: 1435-43
イムノキャップで「オボムコイドクラス2」とは測定値だと0.7-3.5未満のことを言います。上のプロバビリティカーブに照らし合わせると、1歳児で全卵1/2個相当を摂取すると20-40%程度の子どもにアレルギー症状が出現し、2-6歳児で全卵1個相当を摂取すると15-40%程度の子どもにアレルギー症状が出現することになります。
イムノキャップで「オボムコイドクラス3」とは測定値だと3.5-17.5未満のことを言います。上のプロバビリティカーブに照らし合わせると、1歳児で全卵1/2個相当を摂取すると40-70%程度の子どもにアレルギー症状が出現し、2-6歳児で全卵1個相当を摂取すると40-80%程度の子どもにアレルギー症状が出現することになります。
印象はいかがですか?意外多く感じますか?実際のアレルギー診療ではより安全に摂取を進められるように、より少量の食物経口負荷試験を準備しています。(当院小児食物アレルギー特集ホームページ)
次に「アラスタット」ではいかがでしょうか?
アラスタット 加熱卵粉末摂取
GroupA 1歳全卵1/2個相当,GroupB 2-6歳全卵1個相当
縦軸:アレルギー症状出現可能性,横軸:オボムコイドの値
Furuya K, Nagao M, Sato Y, et al; investigators IPg. Predictive values of egg-specific IgE by two commonly used assay systems for the diagnosis of egg allergy in young children: a prospective multicenter study. Allergy. 2016; 71: 1435-43
アラスタットで「オボムコイドクラス2」とは測定値だと0.7-3.5未満のことを言います。上のプロバビリティカーブに照らし合わせると、1歳児で全卵1/2個相当を摂取すると15-25%程度の子どもにアレルギー症状が出現し、2-6歳児で全卵1個相当を摂取すると5-15%程度の子どもにアレルギー症状が出現することになります。
アラスタットで「オボムコイドクラス3」とは測定値だと3.5-17.5未満のことを言います。上のプロバビリティカーブに照らし合わせると、1歳児で全卵1/2個相当を摂取すると25-50%程度の子どもにアレルギー症状が出現し、2-6歳児で全卵1個相当を摂取すると15-55%程度の子どもにアレルギー症状が出現することになります。
「イムノキャップ」と「アラスタット」は同様の傾向を示していますが、実際の値が表す意味は異なっていることに注意が必要です。
採血で「オボムコイド」と一緒に測定する「卵白」については以下の記事を参考にしてください。
(アレルギー検査で卵白クラス2, クラス3ってどれくらい食べられるの?)
当院で実際にどのような食物アレルギー診療をしているかはコチラをご覧ください!